助成金を活用しよう

新型コロナの影響により、休業を実施した企業の大きな助けとなる雇用調整助成金が大きな注目を集めていますが、助成金には様々な種類のものがあり、有効活用することで会社経営に大きく寄与することができます。

ただし、どの企業でも活用できるというわけではありません。
以下の条件を満たす必要があります。

  • 正社員を1名以上雇用している
  • 雇用保険・社会保険に加入し保険料を支払っている
  • 会社都合の解雇を半年以内に行っていない
  • 残業代未払いなどの労務違反を犯していない など

ここでは、使いやすい助成金についていくつか紹介していきます。

使いやすい助成金

Ⅰ.人材確保等支援助成金

1.雇用管理制度助成コース

評価・処遇制度(人材確保等支援助成金と併給はできません)
研修制度(従業員が10時間以上の社外研修に参加する制度)
健康づくり制度(定期健康診断に加えて、法定外健康診断を受診する)

①~③のいずれかの制度の導入を通じて、従業員の離職率の低下に取り組む事業主に対して、目標達成時点で助成 目標達成助成 57万円 <72万円>

評価・処遇制度を導入
評価・処遇制度、昇進・昇格基準、賃金制度、諸手当制度のいずれかの制度を導入すること

  • 評価・処遇制度については、制度導入後の対象となる労働者全員の賃金合計額が低下してないこと(残業代、賞与等を除く)
  • 諸手当制度については
    (通勤・住居・転居・家族・単身赴任・役職・資格・海外赴任・地域・出張・その他適当と判断される手当であること)
    (離職率低下目標達成で57万円を追加支給)
    (生産性要件を満たせばさらに15万円追加支給)

研修制度を導入・実施(従業員が10時間以上の社外研修に参加する制度)

  • 正社員1名以上を10時間以上の研修に参加させる
  • 研修制度を就業規則に規定し労基署へ届出、(受講料・ 交通費・教材費等が全額会社負担であることの明記が必要)
  • OFFーJTとして社外研修に参加(講習時間の管理が可能であれば、通信講座やe-ラーニングでも可能)
    研修が職務と関係ない内容はNG(ただし、労働関係法令で義務付けられた講習等が2/3以上でなこと)

健康づくり制度を導入
有期雇用でない通常の労働者に、法定の健康診断に加え、下記のいずれか1つ以上の項目を導入すること 

①腰痛健康診断(※)(診断可能な病院が少ない・・) 
②歯周病予防検診(おススメ!) 
③がん検診(胃がん、子宮がん、肺がん、乳がん、大腸がん検診)
④骨粗鬆症検診 ※腰痛健康診断とは、厚労省「職場における腰痛予防対策指針」に掲げる健康診断のことです。

★制度実施のための合理的条件および会社の費用負担が就業規則に明記することが必須です。

2.人事評価改善等助成コース(1-①の評価処遇制度との併給は不可)

生産性向上に資する能力評価を含む人事評価制度を整備し、 定期昇給等のみによらない賃金制度を設けことを通じて生産性向上、賃金アップと離職率低下を図る場合に助成される

【制度整備助成(※1)】50万円 

(※1) 生産性向上に資する人事評価制度及び賃金制度を整備し、賃金アップを実施した場合に支給

【目標達成助成(※2)】80万円

(※2) 人事評価制度等整備計画の認定申請時から3年経過後に申請し、生産性要件を満たすとともに賃金アップと離職率低下の3点を実現した場合に支給

3.整備改善等支援コース(正規・無期雇用契約労働者対象)

生産性向上に資する設備等への投資を通じて、生産性向上、雇用管理改善(賃金アップ)等を図る事業主に対して助成される。

【改善計画期間1年】
設備投資175万以上1,000万未満計画達成助成 50万円

80万円>(開始から3年後の達成助成)

4.働き方改革支援コース(いずれも上限10名まで)

働き方改革に取り組むうえで、人材を確保することが必要な中小企業が新たに労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を図る場合に助成

【計画達成助成(※1)】  60 万円/人(短時間は40万円)

(※1) 新たに労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を達成した場合に支給

【目標達成助成(※2)】  <15万円/人>(短時間は10万円)

(※2) 雇用管理改善計画の開始日から3年経過以降に申請し、生産性要件を満たす(伸び率6%以上のみ)とともに離職率低下の目標を達成した場合に支給

☆時間外労働改善助成金(時間外労働上限設定コース、勤務間インターバル導入コース、職場意識改善コース)の支給を受けた中小企業のみが対象となる。

Ⅱ.キャリアアップ助成金

1.正社員化コース (有期雇用社員向け)

( )内は大企業

有期雇用→正規雇用  57万円 <72万円> (42.75万円 <54万円>)
有期雇用→無期雇用  28.5万円 <36万円>(213,750円 <27万円>)
無期雇用→正規雇用  28.5万円 <36万円>(213,750円 <27万円>)

(有期労働者の無期への転換または直接雇用を実施する場合の 通算雇用期間は3年未満)
支給上限人数は、1年度1事業所当たり20人

2.賃金規定等改定コース(有期雇用社員向け)

有期労働者の賃金規定等を増額(2%以上)改定し昇給を図った事業主に対して助成する。

すべての有期労働者の賃金規定等を増額改定した場合

従業員助成額中小企業以外
1~ 3人95,000円<12万円>71,250円<90,000円>
4~ 6人19万円 <24万円>14.25万円<18万円>
7~10人28.5万円<36万円>19万円 <24万円>
11~100人28,500円/人<36,000円>19,000円/人<24,000円>

一部の賃金規定等を増額改定した場合は上記の1/2

☆中小企業がすべての賃金規程を3%以上の増額改定した場合・・・14,250円/人加算
一部の賃金規程改定・・・7,600円/人加算

3.健康診断制度コース(有期雇用社員向け)

( )内は大企業

健康診断の実施が法定外の、有期契約労働者等を対象にした健康診断制度を新たに規定・実施

(※)した事業主に対して助成
(※)有期契約労働者等に対して延べ4人以上に実施する必要あり

1事業所当たり 38万円<48万円>
      (28.5万円<36万円>)

3.賃金規定等共通化コース(有期雇用社員向け)

( )内は大企業

有期契約労働者等と正規労働者との共通の賃金規定等を新たに規定・適用した事業主に対して助成

(※)対象となる有期契約労働者等が2人以上の場合、2人目から1人当たり 2万円<2.4万円>(1.5万円<1.8万円>)を加算して支給

1事業所当たり 57万円<72万円>(42.75万円<54万円>)

3.諸手当制度共通化コース(有期雇用社員向け)

( )内は大企業

有期契約労働者等と正規労働者との共通の諸手当制度を新たに規定・適用した事業主に対して助成

1事業所当たり 38万円<48万円>(28.5万円<36万円>)

(※)対象となる有期契約労働者等が2人以上の場合、2人目から1人当たり1.5万円<1.8万円> (1.2万円<1.4万円>)を加算して支給
(※)対象となる諸手当制度を同時に2つ以上新たに規定・適用した場合、2つ目以降の手当1つにつき16万円<19.2万円>(12万円<14.4万円>)

Ⅲ.両立支援等助成金

1.出生時両立支援コース

( )内は大企業

男性労働者が育児休業を取得し易い風土作りに取組み、かつ、男性労働者に子の出生後8週間以内に開始する育児休業を取得させた事業主、および育児目的休暇を導入し男性労働者に利用させた事業主に対して助成

男性労働者の育児休業
1人目の育休取得57万円〈72万円〉 (28.5万円〈36万円〉)
育児目的休暇の取得
28.5万円〈36万円〉 (14.25万円〈18万円〉) 1回/1企業

2.介護離職防止支援コース

『介護支援プラン』を作成し、プランに基づき労働者の円滑な介護休業の取得・復帰に取り組んだ中小企
業事業主、又は仕事と介護の両立に資する制度を導入し、利用者が生じた中小企業事業主に対して助成

【休業取得時】   28.5万円〈36万円〉
【職場復帰時】   28.5万円〈36万円〉 
【介護両立支援】  28.5万円〈36万円〉
 
☆それぞれ、1企業当たり1年度5人迄

3.育児休業等支援コース(1)

『育児休業支援プラン』を作成し、プランに基づき労働者の円滑な育児休業取得、職場復帰に取り組んだ中小事業主に対して助成

育休取得時  28.5万円 〈36万円〉
職場復帰時  28.5万円 〈36万円〉

業務代替者への職場支援等の取組をした場合 19万円<24万円>加算
育児休業取得者の代替要員を確保すると共に、育児休業取得者を原職復帰させた中小事業主に対して助成

代替要員確保時  47.5万円 〈60万円〉

育児休業取得者が有期雇用労働者の場合 9.5万円<12万円>加算

3.育児休業等支援コース (2)

児休業から復帰後の労働者を支援するため、法を上回る子の看護休暇制度や保育サービス費用補助制度を導入し、労働者に利用させた中小事業主に対して助成

職場復帰後支援
 
【子の看護休暇制度】 
制度導入時 28.5万円 〈36万円〉
制度利用時 取得休暇時間毎1,000円〈1,200円〉         

【保育サービス費用補助制度】制度導入時
28.5万円 〈36万円〉
制度利用時 事業主が負担した額の2/3
(制度導入時は1企業1回迄、利用時は1企業1年度あたり看護休暇は200時間<240時間>、保育サービスは20万円<24万円>まで支給)

4.65歳超継続雇用促進コース

65歳以上への定年の引き上げ、定年の廃止、希望者全員66歳以上の継続雇用制度の導入のいずれかの措置を実施した事業主に助成

①定年65歳へ引上げ・・・10~150万円
②66歳以上へ引上げ・・・15~160万円
③定年の定めの廃止・・・ 20~160万円 
④希望者全員66~69歳まで継続雇用・・・ 5~80万円 
⑤同上 70歳以上まで継続雇用・・・10~100万円

5.業務改善助成金

事業場内の最低賃金を引き上げ、生産性向上に資する設備投資等を行う中小事業主に対して助成

①助成率  
設備投資等に要した費用の3/4 <4/5>
地域最低賃金と事業所内最低賃金の差額が30円以内および規模 30人以下の事業場の場合

②上限額

【事業内最低賃金を30円以上引き上げた場合】 
引上げ労働者数1人の場合30万円、2~3人の場合50万円
4~6人の場合70万円、7人以上の場合は100万円

【事業内最低賃金を40円以上引き上げた場合】 
引上げ労働者数にかかわらず 70万円

6.働き方改革推進支援助成金

1.労働時間短縮・年休促進支援コース

労働時間の短縮や年次有給休暇取得促進に向けた環境整 備を行うことを目的として外部専門家によるコン サルティング、労務管理用機器の購入等を実施し、改善の成果を上げた事業主に対して経費の一部を助成

①助成率 3/4(30人以下かつ投資経費が30万円を超える場合4/5)

②上限額対象事業主がH31年度(又はR元年度)に有効な36協定において、時間外労働の上限を月60時間以下に設定の場合は100万円

2.勤務間インターバル導入コース (1)

勤務間インターバル制度の導入を目的として外部専門家によるコンサルティング、労務管理用機器の購入等を実施し、改善の成果を上げた事業主に対して経費の一部を助成

①助成率 3/4(30人以下かつ労働能率の増進に資する投資経費が30万円を超える場合は4/5)    

②上限額インターバル時間数等に応じて 9時間以上11時間未満 80万円 11時間以上100万円など

2.勤務間インターバル導入コース (2)

事業の実施に要した経費のうち、謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、備品費、機械装置等購入費及び委託費を助成対象の経費とし、その補助額上限は以下の通り

【支給対象となる取組】
いずれか1つ以上実施する必要があります。

  • 労務管理担当者に対する研修(10万迄)
  • 労働者に対する研修(10万迄)、周知・啓発(10万迄)
  • 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング(10万迄)
  • 就業規則の作成・変更(10万迄)、時間外・休日労働に関する労使協定(1万迄)
  • 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
  • 労務管理用機器の導入・更新
  • その他の勤務間インターバル導入のための機器等の導入・更新
  • 人材確保に向けた取組みの事業(10万迄)

※ 原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。

3.テレワークコース

所定労働時間の削減、有給休暇取得促進に取り組むことを目的として、外部専門家によるコンサルティング、労務管理用機器の購入等を実施し、改善の成果を上げた事業主に対して経費の一部を助成

①助成率 3/4(30人以下かつ投資経費が30万円を超える場合4/5)

②上限額有給の取得促進、所定労働時間の削減に取り組む以下の場合 100万円 

①有給取得、年間4日以上増加 ②月間平均所定外時間、5時間以上削減 
☆特例対象事業主が週所定労働時間を40時間以下とした場合 50万円

採用で使える助成金

1.トライアル雇用奨励金(バローワークからの雇用が必須)

助成額 月額4万円(3ヶ月まで)
お試し期間で見極めが可能なので、おすすめな助成金です。

2.特定求職者雇用開発助成金(ハローワークからの雇用が必須)

助成額 40万円~60万円
60歳以上の高齢者を活用する、母子家庭の母、父子家庭の父の活用促進のための助成金です。


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