𠮷野家役員の「生娘シャブ(薬物)漬け」発言にみる会社役員へのコンプラアインス教育の必要性

𠮷野家役員が、早稲田大学で開講されていた社会人向けの講座で、耳を疑うような不適切発言をしていました。様々な報道によると、若い女性層に吉野家を継続利用してもらう戦略を「生娘をシャブ(薬物)漬け」などと表現していたとのことです。

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講座開講の1回目ということで、講座受講者の耳目を集めるため、印象に残るような強烈な文言を使用したのかもしれませんが、この発言は仲間内の冗談であったとしても、百人が百人眉をひそめ、不快感を感じるレベルの失言ではないかと思います。

このような不適切な内容を、基本外部に公開されない講座内とはいえ、口にしてしまうというのは、皆が知る有名企業の経営を担う者としての自覚が足りなかったと言わざるをえません。

この発言を受け、𠮷野家は当該役員を解任し、コンプライアンス教育を充実させるとの報道がありました。会社の対応としては、想定される範囲内といったところかと思いますが、不適切な発言があっという間に日本中に拡散し、発言者とその発言者が所属する企業イメージを大きく損なうという現実を目の当たりにし、従業員のコンプライアンス意識向上をはかることの重要性について、再認識した方も多いのではないでしょうか。

𠮷野家においては、今回のこの騒動により、企業イメージが著しく毀損しただけではなく、長期間かけて研究を続け、やっと新発売の目処が立ったメニューのお披露目会も中止せざるをえない状況となっているようです。

このような状況に陥るリスクは、企業経営を続ける限り避けることはできません。リスクを避けるためには、常日頃から従業員に対するコンプライアンス意識の向上をはかるような取り組みを進めていくことが必要です。

多く企業において、管理職や一般社員に対するコンプライアンス教育は多かれ少なかれ実施されているようですが、盲点となっているのは、役員に対する教育です。

一般的に、社内にコンプライアンス担当を配置している場合でも、役員がその実践を担うケースは少なく、役員の責任のもと、役員ではない、部長やマネジャークラスの社員が、コンプライアンス担当となっているケースがほとんどです。

そのため、役員以外の階層については、ある程度コンプライアンス教育が進んでいても、役員にコンプライアンス教育が実施できておらず、コンプライアンスに対する認識が甘い役員が在任するリスクが存在します。

今回の不適切発言も役員でしたが、コンプライアンス担当の社員にしてみれば、役員ならコンプライアンス意識が高くて当然との認識のもと、役員に対する教育の必要性がないと判断しているケースがあるかと思います。

また、役員に対する教育が必要と認識していても、自分より上席の役員に対し、コンプラアインス教育を受けてほしいとの提案がなかなかしづらいとのケースもあるかと思います。

営利企業であれば、利益を上げ続けることが求め続けられます。役員は社内でも利益を上げ続けることに一番責任を負う立場です。そのため、役員の中には、コンプラアインス遵守をあまり強く求めると、利益が損なわれるのではないとか考えている者が存在する場合があります。

そのような者が役員の中にいると、コンプライアンス担当者は、役員にコンプライアンス教育を受けてほしいと、なかなか言い出しづらく、コンプライアンス意識が高くない役員がずっと社内に存在してしまうとの状況に陥る恐れがあります。

SNSが発達した現在の環境下では、もしコンプライアンス意識の薄い役員が不適切な言動をしてしまうと、今回の𠮷野家のように取り返しのつかない事態を招いてしまいます。

コンプライアンス担当者は、役員だから大丈夫だろうといった意識や、役員にはコンプライアンス教育を提案しづらいといった躊躇を捨て、改めて役員も含めた全社員にコンプライアンス意識の徹底を求めることが必要ではないでしょうか。

コンプライアンス担当者が会社を守るとの高い意識を持ち、それぞれの会社がそれぞれのやり方で、役員を含めた全社員のコンプライアンス遵守の徹底をはかっていただきたいと思います。

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